ASDの人が融通がきかない理由と対策【仕事編】

ASDはなぜ仕事ができないと言われるの?

あなたは、仕事ができない、融通がきかないと言われたことはありませんか?

もしくは、自分自身で仕事ができないと思ったことはありませんか?

 

ASDの人は言われたこと(ルール)を忠実に守ろうとするため、会社でも融通が利かない人間と思われてしまいがちです。

仕事ができず、融通がきかなかった私

たとえば、私が20代のとき、会社で上司から以下のような指示をされました。

 

  1. A社に行って、資料を受け取り
  2. 受けとった資料を、B社に行って渡す

 

そして、いざ私がA社に行こうとしたタイミングで、『B社にお願い』と上司から資料を手渡されました。

私は少し混乱しました。資料はA社にあるはずだから、また別の資料なのかな?と勘違いをしてしまい、そのまま、A社へ同じ資料を受け取りに行ってしまったのです。

当然、上司からは怒られ、手元にまったく同じ資料が2セットに増えたのは言うまでもありません。

 

つまり、B社に資料をわたすのが『目的』ですから、社内で資料を準備できれば、わざわざA社に訪問する『理由』はなかったということですよね。

この目的・理由をイメージすることが、当時の僕にはできませんでした。

 

定型発達の人であれば、こういった失敗はしません。

なぜなら、

  • B社に資料をわたすのが目的。
  • A社訪問の理由は、資料を受け取るため。

と、すぐにイメージできるからです。

 

ところが、ASDである僕は指示された内容を記憶して行動しただけ

つまり、ASDの人は仕事の目的・理由をイメージできていない場合が多いんです。

これが、ASDの人が『仕事ができない』と言われる理由のひとつです。

 

本人からしてみれば、指示されたことを忠実に守ろうとしているだけ。

でも、周りの人間から見れば、ただの『融通が利かないダメ社員』です。

 

そうなると、ますます職場での居心地が悪くなったり、自分で自分を責めてしまうこともつながってしまいます。

ASDが融通をきかせる3つの対策ポイント

こちらの問題の対策としては、4点あります。

【ポイント①】こだわりを緩める

すべての人に当てはまることではありませんが、ASDの人は自分は指示どおりに行動したのだから、『自分は正しい、悪いのは相手が説明をしなかったからだ』と考える人もいます。

でも、もしあなたが、

  • 正しい or 間違い

という2択の考えに囚われてしまっているのなら、注意してください。

それは、単なるASDの「こだわり」です。

こだわりが強すぎると、視野が狭くなり、余計に融通がきかなくなってしまうという悪循環になります。

そもそも、会社という組織の中では、臨機応変に融通をきかせることも仕事です。

これは、社会の中では暗黙のルールでもありますが、ASDの人はそれが理解できません。

 

そのため、いくらあなたが『自分は正しい』と思ったり主張したところで、周囲は理解してくれません。

『変わった奴だ』と思われ、孤立させられるだけなのです。

ですので、初めはほんのちょっとでいいんです。

 

  • 自分が正しいという考えは、単なる『こだわり』かもしれない
  • 自分はもしかしたら、融通がきかないのかな?

 

と、まずは少し意識できるといいでしょう。

【ポイント②】自分は融通を利かすのが苦手だと自覚する

ポイント①の内容が進むと、融通を利かすのが苦手だと、ハッキリ自覚できるようになります。

こうなれば、しめたもの。

ASDの人は、自分が融通を利かすのが苦手だと自覚すらできていない場合がありますが、自覚することはとても大切なんです。

なぜなら、自覚できなければ、『良くしていこう』という意識を持つことすらできないからです。

逆に言えば、良くしていこうと思えれば、ASDであっても改善はしていけるんです。

【ポイント③】仕事の目的・理由を考えてみる

ハッキリ自覚できたら、指示を守ることだけに固執せず、その仕事の目的・理由に意識を向けるようにしてみてください。

ここまで記事を読んでくださっている方は、少なくとも自覚がある方です。

ですので、大丈夫。

初めはできなくても構いません。少しずつ練習していけば、できるようになります。

 

練習は必要ですが、実際に僕がそうだったように、少しずつですが仕事の目的・理由はイメージできるようになります。

どうしてもイメージできない!という方は、私がカウンセリングでも相談に乗っておりますので、一度ご相談ください。

私の経験からお伝えできることは、すべてお伝えします。

【補足】パターンとして経験値を増やす

ここからは補足になりますが、いくらASDの人が融通が利かないといっても、同じ失敗・経験をくり返していれば学習します。

ですので、失敗・経験をくり返しパターン学習することで、引き出しの数を少しずつ増え、しだいに融通がきくようになることも、実は可能です。

 

ただし、これには少し時間がかかります。

ですので、上で書いたポイント①~③をなるべく意識してみてください。

そうすることで、時間を短縮できます。

 

実際に、僕も社会に出てしばらくは、失敗の連続でしたが、目的・理由をイメージできるようになってからは、ストレスも大幅に減りました。

上司や周りの同僚からの信頼もでき、過ごしやすくなっていきました。

ですので、あなたもすぐにできないからといって、不安になり過ぎないでくださいね。

まとめ

ここまで紹介してきたように、ASDの仕事ができない、融通がきかない!は、少しずつ改善できます。

でも、100点を目指す必要はまったくありません。

初めはイメージできなくても構いませんし、10点、15点と少しずつできるようになっていけばいいんです。

最終的に30点/100点できるようになれば、十分。

くれぐれも、100点を目指そうとして頑張り過ぎないでください。

ASDの人が元から持っている優れた才能もありますので、30点で十分に有用な人材になれると思います。

 

私のカウンセリングでは、こういった仕事上の『生きづらさ』を少しでも減らしていただけるよう、お話を聞かせていただいています。

興味のある方は、一度お問い合わせくださいね。

お待ちしております。