対人関係を破綻させる?敵意帰属バイアスの原因と対処法

相手の言動に、「敵意」を感じてイライラしてしまう。

または、自分が何の気なしに言った言葉に対して、すごい剣幕で怒られてしまった。

あなたには、そのような経験がありませんか?

 

実はこれ、両方とも認知の歪みです。

心理学の世界では、『敵意帰属バイアス』といいます。

 

もしも、あなたが帰属バイアスを持っている場合なら、コミュニケーションが上手くいかず、生きづらさを抱えているかもしれません。

その原因は、何だと思いますか?

 

それは・・

 

 

自己重要感のなさ自分を認めることができていない劣等感があります。

 

裏を返せばその根底には相手から見下されることへの強い恐怖心があるというわけなんです。

敵意帰属バイアスとは?

認知の歪み画像

敵意帰属バイアスとは、

相手の言動が「敵意」や「悪意」によるものだ!と思い込んでしまう、『認知の歪み』のことをいいます。

 

たとえば、相手からアドバイスを受けただけなのに、

  • 否定されたに違いない!
  • 嫌味を言われている!

と、相手に悪意があると勝手に思い込んでしまう。

だからこそ、怒りが出てきてしまい、イライラが抑えられなくなるのです。

 

当然ですが、相手とはコミュニケーションが上手くいきません。

相手からすれば、

 

  • 『せっかくアドバイスしてあげたのに・・・。』
  • 『質問しただけなのに・・・』

 

と一歩引いてしまい、結果として対人関係が悪化します。

そして最悪の場合、人間関係が破綻してしまうのです。

 

しかし、当の本人は『否定された』『嫌味を言われた』と思い込んでいるだけなので、本人も苦しいのです。

自分にとっても、相手にとっても、デメリットしかありませんよね。

敵意帰属バイアスが働く原因は?

敵意帰属バイアス(認知の歪み)がおこる原因としては、上でも書いた自分を認められない劣等感です。

その劣等感の原因となっているのは、

  • 自己重要感の無さ
  • 視野の狭さ
  • トラウマ

などがあげられます。

 

これらの要因は、誰しもが持つ可能性のあるものです。

しかし特に、発達障害を持っている方の場合には、その傾向がさらに強く出てしまうケースがあります。

 

なぜなら、発達障害を持っている方は、劣等感が大きくなりやすいからです。

さらに、自閉的な傾向があれば、視野が狭くなりやすいケースもあります。

そのぶん、どうしても認知が歪みやすい傾向があるのです。

 

その結果、衝動的にキレてしまう。ということも多いパターンと言えます。

また二次的な要因として、毒親・アダルトチルドレンである場合も、劣等感や視野の狭さをより強めてしまうことがあります。

 

発達障害であり、アダルトチルドレンであった私も、過去に以下のような敵意帰属バイアスに悩まされていました。

敵意帰属バイアスの具体例

敵意帰属バイアスの画像

発達障害とアダルトチルドレンを持つ私も、この敵意帰属バイアスにかなり悩んだ経験があります。

以前、私は友達の紹介してくれた会社で働いていたことがありました。

 

しかし、その新しい職場で周りとコミュニケーションがうまく取れず、仕事でも上手く立ち回ることができていなかったのです。

 

そこで、職場を紹介してくれた友人は、『私に職場で上手くいって欲しい』という気持ちを込めて、「もっとこうした方がいいよ!」と、色々とアドバイスをしてくれたのです。

 

しかし、当時の私は、

  • 否定されている
  • 嫌味を言われている

そんな、歪んだ受け取り方しかできなかったのです。

 

そこで、友人は、

「何回説明すれば分かってくれる!?」

「そういうことを言っているんじゃない!言いたいのは~」

と、何度もイチから説明をしてくれました。

 

しかし、これが当時の私にはダメでした。

当時の私は、説明されれば説明されるほど、怒りが爆発しそうになっていたのです。

自分を惨めに感じてしまっていたのです。

このように、敵意帰属バイアスをもっていると、説明も何もかも無意味になります。

 

その結果、無意識に自分はどうせダメ人間なのだと自己否定に走り、とうとう友人にキレてしまったのです。

友人が自分のためを想ってくれていると怒りを抑えたくとも、無理でした。

その結果、関係にヒビが入り、友人とは疎遠になってしまったのです。

 

友人は『私に会社で頑張ってもらいたい』という思いから、私に助言をくれていただけにもかかかわらず、です。

このように、敵意帰属バイアスをもっていると、自分も相手もただただ、疲弊し切るのみです。

 

敵意帰属バイアスは、大切な財産である人間関係を失うことにもつながる。

認知の歪みは決して、軽視できる問題ではないのです。

敵意帰属バイアスへの対処法

ここでは対処療法として、すぐ簡単に行える「敵意帰属バイアスへの対処法」についてお伝えします。

STEP①:気づくー客観視

まずは、敵意帰属バイアスが働いているかもしれないことに、『気づく』という客観視が大切です。

 

たとえば上記のように、友人から否定されていると感じたとしますよね。

そう感じたら「自分は否定されたと感じている」と、口に出して実況中継します。

人目があるところなら、心の中でつぶやいても構いません。

 

自分のことなのに、自分のことを実況中継してみる。

これがポイントです。

 

実況中継をくり返すことで、怒りの意識に飲み込まれずに、自分を客観視できるようになっていきます。

ですので、怒りがわいてきたら、

「なるほど、いま自分は敵意帰属バイアスによって、怒りを感じてしまっているんだな」と、自分から少し距離を置いて、観察してみましょう。

 

ここでのポイントは、自分を客観視することで、怒りの意識に飲み込まれないようにすること

いま自分は怒りに支配されているのだなと、客観的に『気付く』ことができれば、怒りの感情にそれ以上のみ込まれません。

 

つまり、受け取り方を考えなおす、少しの『余裕』が生まれるのです。

これが客観視の大きなメリットです。

STEP②:時間を置いて冷静になる

とはいえ、直後は怒りがわき上がってきてしまうこともあるでしょう。

それは、怒りに支配されてしまっている証拠です。

 

そんなときは、くり返し思い出して、考えてしまうことはNG。

くり返し思い出さないようにして、時間をあけるようにしてください。

 

なぜなら、

  • くり返し思い出して考える(イライラ)

  • 「なんで自分のことを分かってくれないんだ!」(怒り)

  • やっぱり相手は自分を傷付けるつもりだったに違いない!(確信)

と、自分のなかで勝手に「確信」に変えてしまうからなんです。

 

これには注意してください。

確信に変わってしまうと、それは強い思い込みとなってしまい、あなたを苦しめつづけることになります。

ですので、直後は何度も出来事を思い出して、掘り返すことは避けるべきなのです。

 

意識を他の事にズラすことで、少しずつ冷静さを取り戻しましょう。

STEP③:感情と事実を切り分けて考える

①気付き、②時間をおくのステップを踏んだあとなら、感情もすこしは落ち着いているはずです。

できれば2~3日はあけ、冷静になったところで、自分にこう問いかけてみましょう。

 

ほんとうに相手は、

  • 自分を否定したかっただけなの?
  • 自分に嫌味を言いたかっただけなの?

このように、感情はいったん置いておき、事実だけを客観的に見つめてみましょう。

 

ここでのポイントは、なにか違った解釈はできないか?と冷静に自分に問いかけてみること。

自分の解釈がすべて100%正しいとは限りません。

 

そう考えると、自分でも気づかなかった思わぬ視点に気付くことができるようになります。

 

たとえば、相手は、

  • ただ良くなって欲しいと思って、アドバイスしてくれただけかもしれない。
  • ただシンプルに疑問に思ったから、自分に聞いただけかもしれない。

など。

 

自分では気付かなかった新たな視点に気付くことができれば、怒りは少しずつ薄れ、やがてス~~ッと溶けてなくなってゆきます。

まとめ

敵意帰属バイアスは、自分に敵意を向けられているという認知の歪みです。

その原因は、自分を認められていない劣等感からくるもの

 

ですので、すぐにできる簡単な対処方法としては、

  • STEP①:気づくー客観視
  • STEP②:時間を置いて冷静になる
  • STEP③:感情と事実を切り分けて考える

になります。

 

しかし、敵意帰属バイアスのいちばんの根本的な対処法は、自己重要感を高めることです。

これはカウンセリングで少し時間をかけ、じっくり取り組む必要があります。

 

根本から改善したいのであれば、下記より私のカウンセリングに一度ご相談ください。